アスレティックトレーニング備忘録

米公認アスレティックトレーナーがスポーツ傷害、リハビリ、トレーニングなどについて不定期で書いてます。

ATC取得の為の学校選び

こんにちは。イマザキです。

 

学生の方や高校生の方向けに、何回かに渡ってATC取得までの道筋をまとめてみようかと思います。ちなみにアスレティックトレーナーがどのような職業かということや、日米での立場の違いなどは過去にブログに書いたのでそちらをご覧ください。

zaki-at.hatenablog.com

 

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ATC取得のためには認定プログラムを終了する必要がありますが、そのプログラムが始まるまでの大まかな流れとしては以下のようになります。

 

学校探し

願書提出・面接等・合格発表

I-20取得・ビザ取得

 

上記にも挙げたようにまず大前提としてATCを取得するためには認定プログラムを終え、BOC試験に合格する必要があります。これまではこの認定プログラムは学部レベルの授業だったのですが、2020年より修士レベルに完全に移行することが決まっており、すでにほとんどの大学が移行を完了しています。つまり、これからATCを取得しようと思っている方は認定プログラムのある大学院に行かなくてはいけません。

 

この大学院を探す方法ですが、CAATEというプログラムの認定を統括している団体のこちらのwebサイトから検索できます。

 

ちなみにこれからATCを取得しようと思っている学生を対象にしているのはProfessional programになります。僕が初めて検索したときはProfessionalという言葉に惑わされ、どれがエントリーレベルだよ!って混乱しました。

 

もちろん言うまでもなくこの学校さがしが一番大事な部分です。今回は個人的に学校を探すうえで大事なポイントを紹介します。

 

1、学校の規模、ディヴィジョン

アメリカの大学スポーツは多くの場合NCAAという統括団体の下、ディヴィジョン1(D1)からディヴィジョン3(D3)に分かれて行われています。JリーグのJ1、J2 のように入れ替えがあるわけではありません。このディヴィジョンは基本的に学校の予算や規模により分けられています。

 

アスレティックトレーニングのプログラム中は2000時間近い実習を行う必要があるのですが、大体はその大学のチームか近隣の高校で行う事になります。ですので自分の行こうとしている大学がどのディヴィジョンなのかという事は非常に大事な問題になります。

 

各ディヴィジョンのメリット・デメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

D1の大学のメリット

  • ハイレベルなアスリートと関わることができる。
  • 就活に有利に働くことがある。
  • ATだけでなくSCやPT、栄養士など他の資格を持った人もチームについているため、いろいろなことを学べる機会が多い。

D1の大学のデメリット

  • 実習中にやらせてもらえることが限られてくる場合がある。
  • 学費が高いところが多い。

 

D2、D3の大学のメリット

  • 実習中にやらせてもらえることの幅が比較的広い。
  • 学費がD1の大学と比較して安いことが多い。
  • 求められるTOEFLのスコアが低いことが多い。

D2、D3の大学のデメリット

  • 施設やアスリートのレベルはD1の大学に比べると落ちる。

 

これはあくまで大雑把に見た時の傾向なので、実際は卒業生やプログラムディレクターに連絡してみた方がいいと思います。余談ですが、カレッジスポーツ観戦を楽しみたいと思う方はやはりD1の大学が良いでしょう。その規模に驚かされます。

 

2、プログラムのBOC合格率、生徒数

次に紹介する指標はプログラムのBOC合格率と生徒数です。認定プログラムを終了したからと言ってATCを取得できるわけではありません。その前にBOCの試験を受けなければならないのです。そしてどこの大学もこのBOC試験の合格率をWebページ上で公開しています。(ちなみにこちらが僕の卒業したネブラスカ大学オマハ校のATプログラムのwebページです。)

 

このBOC試験の合格率ですが、これはプログラム自体を評価するうえで割と大事な指標になるかと思います。例えば、この合格率が良いプログラムは熱心な学生が集まっていて、教授やインストラクターの指導も丁寧なことが多いです。逆にこれが低いと、指導者に問題があるか、あまり勉強しない学生が集まっているかだと思います。

 

またプログラムの生徒数も大事な指標になります。アスレティックトレーニングのプログラムは座学に加え、実技の授業も多いのですが生徒数が少ないほど細かな指導を受けることができます。また実習の際、生徒数が多い場合なかなか希望のスポーツに行くことができない場合があります。なので、生徒数が多すぎないプログラムの方が僕としてはおすすめです。

 

3、留学生の有無

そのプログラムに留学生がいる、または居たかというのは日本からATCを取りに来られる学生にとっては大きなポイントです。ほとんどの大学にInternational Officeという留学生関係の手続きなどを行ってくれる部署があるのですが、過去に留学生がいたことのない場合プログラムディレクターとInternational Officeは接点が全くないので連携が上手く取れない場合があります。

 

その点、留学生が多いプログラムだとプログラムディレクターも過去の経験があるので、何か問題が起こった際によりスムーズに対応を教えてくれます。また留学生が多いプログラムはほかの学生も留学生に優しい印象があります。

 

この留学生の数ですが、プログラムディレクターに直接聞くのが良いでしょう。また現在もしくは過去に留学生がいた場合、その人の連絡先を教えてくれることもあります。実際に日本からその大学に行った人の意見なので参考になると思います。

 

4、卒業生の進路、夏季インターン先

他に大事な要素として、そのプログラムの卒業生の就職先や在学生の夏季インターン先がどこなのかという事もあります。アスレティックトレーナーの世界ではコネクションは非常に大事です。もし特定のスポーツやチームで働きたいと考えるなら、そのチームのATがどこの大学を卒業したかを調べるのも一つの手だとは思います。

 

個人的にもっと大きなウエイトを占めるのはここ数年の生徒がどこで夏季インターンをしたかだと思います。いろいろなところで、毎年どこそこの学校から一人インターンを取っているとか聞くことがあります。まだ学生で個人間の経験にそれほど差が無いからこそ、その大学のプログラムの信用度が夏季インターンを探す上で大事になってきたりします。これも直接プログラムディレクターに聞くのが良いでしょう。

 

5、学費、生活費

留学生にとって一番大きな悩みどころはお金の問題だと思います。これは学校によって様々ですが基本的に日本の倍近くまたはそれ以上します。お金の面でのポイントとしては次の2点が挙げられます。

 

奨学金はもらえないか?

実はアメリカの学生のほとんどが何らかの奨学金をもらっています。(日本学生支援機構の似非奨学金と違って返済義務はありません)これはその学校のWebサイトにも載っていることもあるのですが、僕のおススメはこれも直接プログラムディレクターに聞くことです。

 

ちなみに、僕の卒業したネブラスカ大学オマハ校では幸運にもその学部の院生全員を対象にした奨学金があり、授業料は約半分で済みました。

 

物価などはいくらか?

大学のある場所の物価や家賃がどの程度の値段なのかを調べることは大切なことです。最低でも2年間生活するわけですから、この生活費の差は馬鹿になりません。極端な例を出すと、ニューヨークに住んでいる僕の友人は家賃が月700ドルするといっていました。オマハにいた頃は450ドルだったのでひと月だけで250ドルも差があります。また基本的に家賃が高いところはその他の生活必需品も高いです。

 

まとめ

今回は学校を探す上で重要になってくるポイントをいくつか挙げてみました。ほとんどの項目で書きましたが、これらを調べる際に結局、プログラムディレクターに直接聞くのが一番確実で一番早い方法だと思います。ちなみにプログラムディレクターの連絡先は大学のプログラムのwebページ上に記載されています。

 

近年ATプログラムの大学院への移行に伴い、多くの大学の教授陣も生徒数を集める為に留学生の勧誘により一層取り組んでいます。なのでほとんどのプログラムディレクターが快く質問に答えてくれると思います。はじめは英語でメールを送るのを躊躇うかもしれませんがやらなきゃ始まりません。覚悟を決めて頑張りましょう。

 

それでは。