アスレティックトレーニング備忘録

米公認アスレティックトレーナーがスポーツ傷害、リハビリ、トレーニングなどについて不定期で書いてます。

日米でアスレティックトレーナーってどう違うの?

こんにちは。イマザキです。
今回はアメリカのアスレティックトレーナーと日本のトレーナーの違いをお話ししたいと思います。

1、日本でのトレーナー像
さて日本でよく使われるトレーナーという言葉を聞いてどのような人を思い浮かべますか?ある人はテーピングをしたりする人を思い浮かべるかもしれませんし、ある人スポーツチームでウエイトトレーニングを教える人を思い浮かべるかもしれません。またある人はジムで一般の方にダイエットの為の運動を指導する人を思い浮かべるでしょう。このようにトレーナーという言葉は色々な職業を指しています。


正確に表すなら最初の人はアスレティックトレーナーですし、チームにウエイトトレーニングを指導している人はストレングスアンドコンディショニングコーチ、最後のジムで指導している人にはパーソナルトレーナーという言葉を用いる方がいいでしょう。


あくまで個人の感想ですが、日本ではまだこのアスリート(と一般の運動する人)をサポートする人をまとめてトレーナーと呼んでいる人が自称他称含め多い気がしています。アメリカでも一般の人でごっちゃにしている人はいますが、プロとして働いている人は上記に挙げたようなより正確な役職名を使います。
このように日本ではトレーナーという職業が漠然としすぎているのではと感じています。

 

2、アスレティックトレーナーとして働く為の仕組み
次にアスレティックトレーナーとして働く為の仕組みが日米で大きく違います。
日本の場合、トレーナー(アスレティックトレーナー含む)として働くには特別な資格は要りません。極端な話、自分がアスレティックトレーナーですと名乗って、雇い主が雇ってくれる、もしくは選手等のお客さんがお金を払ってくれればアスレティックトレーナーとして働けます。

とは言うものの現実として医学的な専門知識やスポーツ科学の知識を問われる為、皆さん何かしらの資格を持って活動されていることが大半です。
代表的な資格としては柔道整復師や鍼灸師、理学療法士等の医療資格からCSCSなどのストレングスコンディショニング系の資格、そして日本スポーツ協会のAT(JSPO-AT)などです。このように一口にトレーナーといっても様々なバックグラウンドを持った人たちがいるのが現状です。


一方アメリカでは州によって微妙な違いがあるもののほとんどの州でアスレティックトレーナーとして働けるのはBOCの試験を合格し、ATCと各州のライセンスを取得した人のみです。日本でいう医者が医者と名乗って働くのに医師免許が必要なのと同じです。現行制度ではBOCの試験を受けるためには、正規のカリキュラムを修了する必要があります。ですのでアメリカのアスレティックトレーナーの場合、ほとんどの人が共通のバックグラウンドを持っていることになります。

 

3、アスレティックトレーナーの社会的立ち位置
さらに僕が感じているアメリカのアスレティックトレーナーの大きな特徴として、アスレティックトレーナーという職業または資格がAmerican Medical Association (米国医師会) やHealth Resource Service Association (アメリカ保健資源事業局), Department of Health and Human Service (アメリカ合衆国保健福祉省) から正式にAllied Health Care Profession (日本でいうコメディカル。メディカル業務をサポートする人の総称)として認められているという事です。

このことは非常に大きな意味を持っていると思います。例えば、ドクターとのコミュニケーションがよりスムーズにいったり、医療関係者しか使えない治療機器が使えたり(州によって使えるものと使えないものがありますが)、条件が合えば治療に対して保険会社の保険が適応になったりします。

このようにアメリカのアスレティックトレーナーは日本のトレーナーよりメディカルな職業であることが明確になっていると思います。

 

まとめ
上記をまとめると、アメリカのアスレティックトレーナーの方が制度として確立されているのではないかと思います。あくまでこれは制度上の話であって、個人同士を比べて日米でどちらが上かという話ではないのであしからず。

それではまた。