だれがリスクテイカーになるか?
こんにちは。イマザキです。
ここ最近日本ではこちらのニュースが話題になっているという事で遅ればせながら個人的に思うところを述べたいと思います。
皆さんご存知かとは思いますがニュースの概要を述べると、高校野球の岩手県大会決勝で大船渡高校がエースの佐々木投手を温存したまま試合に敗れ甲子園行きを逃したというものです。佐々木投手は4回戦で194球、前日の準決勝で129球を投げており、彼のコンディションを案じた国保監督の采配に対して野球界内外から様々なコメントが寄せられる事態になっています。
今回のニュースに対して僕が抱いた事として、誰がリスクテイカーになるのかという事です。これはスポーツに限らずすべての事に言えることですが、将来のことに対して絶対というものはありません。特にスポーツの勝敗やケガに関しては結局のところ確率論になります。(でなければブックメーカーは存在しませんし、ここまで障害予防に関して研究が行われることはありません)
今回のケースでは2つのリスクが存在します。一つ目は負けるリスク。そして二つ目はケガをするリスクです。
まず一つ目の負けるリスクです。僕は野球の指導者でもスカウトでもないので大船渡高校と花巻東の実力差がどの程度あったのかは分かりません。普段、監督は少しでも負けるリスクを減らす為によりよい戦力を揃えようとします。今回、一部で監督に苦情が寄せられているのはこの努力を怠ったという言いがかりなのでしょう。
2つ目のケガのリスクですが、これはそのままですが野球をすることでケガをするリスクです。これについては以前にもブログに書きましたが、投球回数の増加、また疲労が溜まった状態での投球により肩や肘のケガのリスクは上昇します。野球のケガでの最悪のケースとして、もしUCLを断裂してしまった場合復帰には2年近くかかります。
今回のケースでは国保監督は負けるリスクと佐々木投手がケガをするリスクを比べて、負けるかもしれないリスクを取ったのでしょう。さて本題は誰がリスクテイカーになるかという事でしたが今回のケースでは国保監督がリスクテイカーになったのではないのでしょうか。(もちろん佐々木投手自身も悔しい思いをしたことは間違いないと思います。)
よく見られるケースとして投手がケガを押してプレイしたり、投球過多の結果ケガをしてしまったりするケースをみます。こういうケースでは選手がリスクテイカーになっています。なぜなら、選手がケガをしてしまった場合でも監督はそこまで責任を追及されることはないからです。(少なくとも学校に100件以上の苦情の電話が来ることはありません)。なのでケガによるリスクを享受するのは選手自身という事になります。
さて今回のケースで国保監督は自身がリスクテイカーになることを選びました。これはなかなか出来ることではないと思いますし、称賛に値すると思います。自身の都合を優先してまだ将来のある高校生にリスクを負わせるのは間違っていると思います。
ではすべての監督が国保監督のように自身がリスクテイカーになることが出来るかというと難しいと思います。現場では保護者や学校からのプレッシャーもありますし、選手自身もまず目の前の試合に何としても勝ちたいと思うはずです。そういったプレッシャーの中でこのような判断を下すのは非常に勇気がいりますし、よほど冷静でいなければできません。
僕は個人的に高野連がリスクテイカーとなり、球数制限などを設けルールとして投球過多を防ぐのが良いのではと思います。この場合のリスクは、私立などの選手層が厚いチームが有利になってしまう可能性があることや競技性が変わってしまう可能性があることでしょうか。
現状、完璧な制度は無くどこかがリスクを取り、うまくいかなかった場合はケガに苦しんだり、非難を浴びたりします。これまでは選手がリスクテイカーになることが多々ありました。そして今回のケースでは監督がリスクテイカーになりました。僕としては彼ら個人にリスクを背負わすのは荷が重すぎるのではないかと思います。なので今後、高野連が非難の矢面に立つ覚悟でリスクを取っていって欲しいなと思います。
まとめ
今回はリスクテイカーという言葉をキーワードにこの問題を見てみました。高校野球の問題は色々複雑なので解決するのは難しいと思います。高野連にはもうちょっとリーダーシップを発揮して改革を行ってほしいと思います。あと、今回の大船渡の敗戦について学校にまで苦情の電話を入れるのはどう考えてもおかしいですし、何より精いっぱい戦った大船渡と花巻東の選手たちの失礼です。
それでは。
【レビュー】 CAIの新しいモデルが出ました
こんにちは。イマザキです。
今月のJournal of Athletic Trainingは足関節捻挫特集で、掲載されていた論文がすべて足関節捻挫に関する研究やレビューだったのですが、その中でJay Hertel氏の最新のChronic Ankle Instability(CAI)のモデルに関する論文が現在のCAIに関する研究を包括的にまとめており、今後足関節捻挫を研究する上でも、現場でトレーナーとして働く為に論文を読む上でも非常に参考になると思ったので紹介したいと思います。
Chronic Ankle Instabilityとは?
Chronic Ankle Instability(CAI)とは本文には以下のように定義づけられています。
Chronic Ankle Instability is characterized by a patient’s being more than 12months removed from the initial lateral ankle sprain and exhibiting a propensity for recurrent ankle sprains, frequent episodes or perceptions of the ankle giving away, and persistent symptoms such as pain, swelling, limited motion, weakness, and diminished self-reported function
(Chronic Ankle Instabilityは最初の足関節捻挫から12か月以上経ってなお、足関節捻挫の再受傷や、足関節のgiving away、痛みや浮腫、可動域の低下、主観的な機能の低下などがみられることによって特徴づけられる)
難しく書いてある感じがしますが、簡単に言うと捻挫自体は治ったはずなのに捻挫が癖になっていたり、足関節がぐらついてる感じがずっと残っていたりするようなことを指します。文中にあるgiving awayという言葉ですがぐらついたり、抜けたりといった感覚を指す言葉で、今回のようなCAIの研究の他にもACLの研究や臨床などでもよくみられる言葉です。
これまでのモデル
本文中にもありますが、これまでCAIのモデルとしてよく使われてたのがMechanical InstabilityとFunctional Instabilityの2つの要素からなるモデルかそこにRecurrent Ankle Sprainを独立の構成要素として加えた3つの要素からなるモデルです。
Mechanical Instability(機械的不安定性)とはその名の通り、足関節を構成する組織自体の損傷によっておこる不安定性を指します。足関節捻挫で言うと前距腓靭帯や踵腓靭帯等の断裂や伸張によって本来の安定性が失われていることを指します。測定にはArthrometerやStressレントゲン検査などで動いた角度や長さなど用います。
一方Functional Instability(機能的不安定性)とはgiving away、バランス能力の低下、筋力の低下など機能面や主観的な症状を指します。ほかにもPerceived Instabilityなど他の名前で呼ばれることも多くあります。多くの要素からなる為、測定にはその測定項目に合った測定方法を用います。
2つの要素からなるモデルではMechanical InstabilityとFunctional Instabilityが重なり合った結果足関節捻挫を再受傷するという事が提唱されていました。一方そのモデルを発展させた3つの要素からなるモデルでは、足関節捻挫の再受傷は独立した要素として存在し、それぞれの要素の組み合わせで患者が示す症状を表すことが提唱されていました。ちなみに僕は修論ではこの3つの要素からなるモデルを参考にしました。
新しいモデル
今回提唱された新しいモデルは以下の8個の要素からなっています。
1. Primary tissue injury
2. Pathomechanical impairments
3. Sonsory-perceptual impairments
4. Motor-behavioral impairments
5. Personal factor
6. Environmental factor
7. Components interactions
8. Spectrum of clinical outcomes
それでは大まかにそれぞれの要素を見てみましょう。
①Primary tissue injury
これはその名の通り最初の足関節捻挫自体を指します。Primary tissue injuryが一つの要素となっている理由としてはCAIは足関節捻挫を機に発症する病態だからです。また、最初の足関節捻挫の程度は当然最終的なCAIの症状の程度に影響を与えると考えられます。
②Pathomechanical impairments
このPathomechanical impairmentsは従来のMechanical Instabilityに似ていると思います。しかしMechanical Instabilityが主にLaxity(緩さ)に重きを置いていたのに対し、このPathomechanical impairmentsという概念はArthokinematic restrictionsやOsteokinematic restrictions, secondary tissue injury, tissue adaptationという、足関節捻挫によって引き起こされるほかの解剖学的な変化も含まれています。
③Sonsory-perceptual impairments
Sonsory-perceptual impairmentsですが従来のFunctional instabilityやPerceived Instabilityの内、主にインプットの方に重点が置かれています。挙げられている要素としては、痛み、体性感覚の低下、感覚的な不安定感、主観的な機能低下、恐怖感、QOLの低下などです。
④Motor-behavioral impairments
Motor-behavioral impairmentsはSonsory-perceptual impairmentsとは逆に従来のFunctional Instabilityに含まれていたような要素の内、アウトプットに重点が置かれたものを含んでいます。具体的な要素としては反射系の変化や、筋神経系の抑制、筋力の低下、バランス能力の低下、運動パターンの変化、運動量の低下などが挙げられます。
⑤Personal factor
これはその名の通り、その人が足関節捻挫をする前から持っていた要素になり、性別や身体構成といったものから、普段の活動量、心理的な特徴など多くの要素を含みます。
⑥Environmental factor
こちらは逆にその患者の外的な環境を表します。例えば、適切な治療やリハビリが受けられるのかという事や、普段行っている職業や運動に対してどの程度足関節の機能が重要になるのか、また周囲の人からの期待などを含みます。
⑦Components interactions
これはそれぞれの要素間の相互関係を指しています。本文中ではキーワードとしてSelf-Organization、Perception-Action CycleそしてNeurosignatureという用語が使われています。
簡単に説明しますとSelf-Organizationとは人間の体は自然と問題があったとしても目的を達成しようと働くことを指しています。本文中で挙げられているのは歩行の例で、人間が歩行(目的)する際にたとえ背屈制限(問題)があって普段通りに歩けないとして歩くこと自体はできます。このように人間の体はたとえ本来なら望ましくない動きを含んでいたとしても目的を達成しようとします。
次のPerception-Action Cycleとは上に挙げたSonsory-perceptual impairmentsとMotor-behavioral impairmentsが互いに影響を与え合っているという事です。例えば、体性感覚が低下していると(Sonsory-perceptual impairments)と頼れる情報が減るわけですから当然バランス能力も低下します(Motor-behavioral impairments)。逆にケガによって普段と同じ動きができない場合(Motor-behavioral impairments)、主観的に違和感を感じますし、さらに神経系の入力にも普段と違うため問題が生じます(Sonsory-perceptual impairments)。
最後のNeurosignatureは簡単に説明しますと感覚器や感情などによる情報の入力から実際の行動までに脳を含む神経系で起こる一連の流れを表すようです。一言で言えば情報の処理の仕方でしょうか。例えば慢性的に痛みがある場合、単純な歩くという行動においても脳内のこのNeurosignatureが長期間の痛みの影響で変化し、ケガをする前と情報の処理の仕方が変わっている可能性があります。
これらのキーワードをまとめると、足関節捻挫によって入力(Sonsory-perceptual)、出力(Motor-behavioral)双方に普段と違う異常が発生し、それが長期間続くことにより情報の処理の仕方(Neurosignature)が悪い方向へ変化した結果CAIになってしまうといったところでしょうか。正直、Neurosignatureという言葉は初めて知ったので今後勉強していきたいです汗。
⑧Spectrum of clinical outcomes
今回のモデルが今までのモデルと大きく違うと思うのはこの結果をスペクトルで表しているという事です。図にもあるように、一番いい状態であるFull Recoveryから一番よくない結果であるRecurrent ankle sprainまでのどこかに落ち着くことになると示しています。
どのようにこのモデルを使うか?
ではこの新しいモデルをどのように使うと良いでしょうか?個人的にはリハビリの現場では足関節捻挫のリハビリの際の大きな指針になるのではと思います。例えば、足関節捻挫受傷後2週間ほど従来のリハビリをしていても改善が見られない場合、今回のモデルと照らし合わせて、著しく低下している機能または要素があった場合、そこを重点的に治療していくというとよいかもしれません。
まとめ
今回は新しく提唱されたCAIのモデルについて紹介しました。足関節捻挫は受傷する人が多いだけに研究の数も膨大で、自分の中でも色々な情報がごちゃごちゃしている状態でした。なので今回の論文で頭の中がすっきりした感じがします。またNeurosignatureなどの新しい概念も知ることが出来ました。
またこの論文のもう一つ優れていると感じた点は、162もの参考文献が載っていることです(普通の教科書の2~3章分あります)。なのでこれから卒論を書いていく学生には良い足掛かりになると思いますし、現場で働くトレーナーの方にとっても情報を得る際のとっかかりになるのではと思います。
それでは。
NATAコンベンションに行ってきました
こんにちは。イマザキです。
今回は先日ラスベガスで行われたNATAコンベンションに行ってきたのでその感想を書こうと思います。
NATAコンベンションとは?
NATAコンベンションとは全米アスレティックトレーナ協会(National Athletic Trainers’ Association)の総会で、毎年6月下旬に行われ、全米からATC取得者や現在ATコースで学んでいる学生、リハビリやスポーツ関連の企業の方など延べ1万人を超える人が集まる一大イベントです。
3日間開催され、期間中は各企業による製品の展示や様々なアスレテックトレーニングの分野に関する研究の発表、就職の面接、レセプションなどが行われます。また、会場では全米のATが一堂に会する為、日本のATの方にお会いしたり、卒業した学校の生徒や教授陣に久しぶりに会えたり等同窓会的な楽しみもあります。
AT Expo
まず最初に紹介したいのがAT Expoです。これはスポーツやリハビリ関連の企業による展示会なのですが、各企業様々な趣向を凝らしていて僕も好きなイベントです。
今回印象に残ったのはレーザーの治療器が多くなってるなということでした。レーザーは細胞の回復を促進するとして論文もちょくちょく出始めているので注目の物理療法だと思います。試しにあるブースで値段を聞いてみたところ、3万ドル(約325万円)と言われました。イマザキにはまだ手が届きそうにありません汗。
他に印象に残った展示品は超音波の診断装置です。エコーの画像診断はお医者さんの間では昔から使われていましたが、近年ATが働くようなスポーツ現場に近いところで活用できるのではと言われています。その理由として肉離れや捻挫といった軟部組織関連のケガがスポーツ現場では多く、超音波画像がそれらのケガの診断に有効だからです。ただ、機械自体が少々高額であることや、練習が必要なことを考えるとまだ普及には少し時間がかかるかなとは思います。
プレゼン
期間中、合計で200近いプレゼンが行われます。当然、時間的に見に行けるのはその中のごく一部ですがどれもとても興味深いプレゼンばかりでした。
細かいプレゼンの内容は割愛しますが今回のNATAコンベンションで印象に残ったテーマとしては脳震盪、メンタルヘルス、そして早期の専門化です。
脳震盪はおそらくここ10年くらいずっと注目されているトピックだと思います。余談になりますがATCの資格を更新する際に一定の講習を受けなければいけないのですが、そのうちの一つにEBP(Evidence Based Practice)認定クラスというものがあります。コンベンションではこのEBPクラスが何個か設けられるのですが、脳震盪に関しては例年EBPクラスに含まれている気がします。
なおEBPに関しては過去の記事をご覧ください。
今年の脳震盪に関する発表で面白かったのは脳震盪後の軽運動が症状の早期改善に役立つ可能性があるという事でした。ただ脳震盪に関しては過去にも記事に書いていますが、まずしっかりと脳震盪に関する決まり、ポリシーをチームやリーグで決め、それを守ることが大事だと思うので、将来的にポリシー作成に今回のような研究がどう影響していくかは興味があります。
ちなみにこちらが脳震盪に関して過去に書いた記事です。
次に印象に残ったテーマとしてはメンタルヘルスです。メンタルヘルスはここ数年で一番ホットなトピックの一つだと思います。特にカレッジやハイスクールの関係者はとても注目しています。今回のプレゼンはジョージア大の取り組みの事例紹介でしたがさすがハイメジャーのD1スクールだなといった感じで規模がすごいなと感じました。
最後に印象に残ったトピックとしては早期の専門化です。もちろんトピックとして早期の専門化を扱ったプレゼンもあったのですが、それ以外のトピックのプレゼンにおいてもプレゼンターの方が早期の専門化に対して警笛を鳴らす場面が多くみられたのが印象的でした。これに関しては今後記事を書きたいなと思います。
まとめ
今回はNATAコンベンションに行った感想を書きました。今回もコンベンションでは色々な方とお会い出来たり、新しい情報を得られたりと大変楽しめました。日本ではなかなかアスレティックトレーナが一堂に会する機会が無いと思うので今後このようなイベントが出てくればなと思います。
それでは。
熱中症についての基本知識
こんにちは。イマザキです。
今回は暑くなって来たという事で、熱中症に関する基本知識をおさらいしようと思います。
熱中症とは?
熱中症(Exertional Heat Illness)は体温が上がることに寄る障害または症状の総称で主に熱痙攣(Heat Cramp)、熱失神(Heat Syncope)、熱疲労(Heat Exertion)、熱射病(Heat Stroke)から成ります。それぞれの特徴と対応を表にまとめてみました。
|
原因 |
症状 |
対応 |
熱痙攣 |
脱水や電解質の不均衡、神経系の疲労等 |
筋の痙攣。 |
水分と電解質の補給 ストレッチ アイスマッサージ |
熱失神 |
脱水。抹消部位に血流がたまることに寄る、中枢系の血流不足。 |
めまい、疲労感、吐き気など。 |
涼しい日陰での安静。 水分補給。 |
熱疲労 |
脱水。血流の低下。心拍出量の不足。血圧の低下。糖分の不足。 |
のどの過度な渇き。口と舌の渇き。虚脱感、疲労感、失神、動きの協調性の低下。吐き気、めまい、頭痛。 直腸温は40.5℃以下。 |
涼しい部屋での安静。アイスタオル。水分補給。 直腸温の測定。 |
熱射病 |
体温調節機能の破綻 |
中枢神経系の症状(異常な行動、混乱、昏睡など) 直腸温40.5℃以上 |
アイスバス。 119番通報。 |
一般的に熱痙攣と熱失神は軽度の熱中症といわれています。一方で熱疲労は中度、熱射病は重度の熱中症です。
特に現場で働くうえで大事になってくるのは熱射病(Heat Stroke)に選手がなってしまった時の対応だと思います。熱射病の場合中枢神経系の働きが破綻している為、自然と体温が下がることはありません。また30分以内に体温を下げなければ後遺症が残る可能性があるうえ、最悪の場合は死に至ります。
現在熱射病対策のゴールドスタンダードとされているのは直腸温測定とアイスバスの使用です。まず熱射病が疑われた場合、直腸温を測定します。一般的に直腸温が40.5℃以上である場合熱射病とされています。もちろん直腸温が40.5℃以下でも中枢神経系の症状があり熱射病が疑われる場合は熱射病として対応します。
熱射病と判断したあとは即時にアイスバスによる処置をすることが望まれます。アイスバスは1.7℃から15℃くらいの水温になるように設定します。衣服やプロテクターなどが冷却効果を下げることは無いとされています。なので衣服などを気にせずに出来るだけ即座に選手をアイスバスに入れることが良いでしょう。時間はその時に寄りますが直腸温が38.9℃以下になるまで続けます。
- 熱射病が疑われるときは30分以内に全身を冷却&119番通報
- 水温は1.7℃-15℃
まだ実際に熱射病のケースに遭遇したことはありませんが、僕の職場でも夏季の練習の際は練習前からアイスタブに水を張っておき万が一の際にはすぐに使えるようにしています。 (水を貯めるのは結構時間かかります)。
予防
熱中症の予防としては、内的な予防と外的な予防があります。内的な予防としては、まず当たり前ですが練習前、練習中、練習後の水分補給、十分な睡眠と栄養、体調管理が挙げられます。
暑い環境の中での練習中の水分補給ですが、15分ごとに200mlから350mlの水分を補給するのが良いとされています。ただ体の大きさや発汗量など個人差があるので、この値はあくまで参考です。
個人的におススメなのは練習の前後に体重を測ることです。練習の前後での体重の増減はほぼ体内の水分量の変化なので、体重を測ることでどのくらい練習中に水分を失ったかが分かります。(*練習の前後で同じような服装で、練習後は汗をかいた服ではなく乾いている服に着替えて測定してください)
一般的に減少量が体重の2%を超えると脱水状態であるとされています(子供の場合は1%とも言われています)。もし、練習後に体重を測って練習前の体重の2%より多く減っていた場合は意識的に水分を補給し次の日の練習前には体重を戻すように心がけましょう。
- 15分おきに200ml-350ml (目安)
- 練習前後で体重の変化は2%以内に!!
次に外的な予防としてはAcclimatization (順応化)とスケジュールの調整が挙げられます。ほとんどのスポーツが一年中ずっとインシーズンの日本ではあまりAcclimatizationという概念はなじみがないかもしれません。Acclimatizationとはその名の通り気候に体を徐々に慣らしていくことを指します。
一般的に人間の体は1-2週間でその気候になれるといわれています。もう少し具体的に言うと発汗量が変化したり汗中のナトリウム量が減ったりして高温の環境でより長く活動できるように体が変化します。アメリカの大学やいくつかの州の高校ではルールとしてアメフトのシーズンの最初の練習はこのAcclimatizationのプログラムを実施することが義務付けられています。
日本はシーズン制ではないのでAcclimatizationプログラムを実施する必要性は薄いかもしれませんが、人間の体が暑さになれるには1-2週間ほどかかる為、急に暑くなった日などは熱中症に対する注意が必要です。
次の外的な予防法として挙げたスケジュールの調整ですが、これはシンプルに気温によって練習量を調節したり、練習時間を変更しましょうという事です。ここで役に立つ指標として挙げられるのがWBGTという指標です。WBGTは気温だけでなく湿度や輻射熱も考慮に入れられる為、熱中症対策としてより有効な値です。
日本スポーツ協会のガイドラインに寄りますとWBGTで31℃以上は原則運動中止、28℃以上で厳重警戒、25℃以上で警戒となっています。
- WBGT
31℃>: 原則運動禁止
28℃-31℃: 厳重警戒 (運動内容の変更)
25℃-28℃: 警戒 (こまめな水分補給)
まとめ
今回、熱中症についてまとめてみました。たかが熱中症と思うかもしれませんが、熱射病になってしまった場合、最悪のケースでは死に至ってしまうほど危険なものでもあります。一方で熱射病に万が一なってしまった場合でも、30分以内にアイスバスによる全身冷却が行えればほぼ100%助かるという事も事実です。なので個人的にはアイスバスの設備はAEDと同程度必要な設備だと思います。
アイスバスですが全身が入るぐらいのポリバケツと氷があればよいのでそこまでコストはかかりません。日本でも今後、熱中症対策として普及していけばいいなと思います。(あと練習後のリカバリーとしても使えます。)
また練習のスケジュール調整や練習内容の変更などはコーチが最終的には決めることなので、トレーナーとしてはあらかじめWBGTが何度になったらどうするという事を決めておくと、いざ気温が高かった時にスムーズにコミュニケーションが取れるでしょう。
ではまた。
カレッジバスケを観よう
こんにちは。イマザキです。
今回のテーマはズバリNCAAのバスケットボールです。完全に本ブログの趣旨とからは脱線していますが、まぁ今回は良いでしょう。といっても個別のチームや選手について書くつもりはありません。今回はアメリカの大学バスケについてあまりご存じでない方に向けて大学バスケの基礎知識を伝えられたらいいなと思います。
1、マーチマッドネス‼
さて、皆さんはマーチマッドネスという言葉を聞いたことがあるでしょうか?日本語に訳すと3月の狂騒といったところでしょうか。これはアメリカの大学バスケが3月に入るとカンファレンストーナメント、全米選手権とより一層の盛り上がりを見せることから使われる言葉です。
いきなりカンファレンストーナメントや全米選手権と言われてもいまひとつピンと来ない方の為に、アメリカの大学バスケの仕組みをご紹介します。
まずアメリカの大学は各カンファレンスに分かれています。プロ野球でいうところのセリーグ、パリーグのような感じです。とは言っても2つではなく、32ものカンファレンスがあります。大きなカンファレンスで言うとBig TenやSEC、マイケルジョーダンの母校であるノースカロライナ大を擁するACC、昨年の全米王者であるヴィラノバ大を擁するBig Eastなどが挙げられます。また日本でも学業面で聞きなじみがあるのはハーバード大などがあるアイヴィーリーグではないでしょうか。
さて、11月にシーズンが始まり、約4か月のレギュラーシーズンを経て3月になるとまず各カンファレンスでトーナメントが行われます。このカンファレンストーナメントは小さいカンファレンスは3月の第1週に、大きいカンファレンスは第2週に行われることが多い気がします。
このカンファレンストーナメントが終わると今度は全米選手権が待っています。この全米選手権に参加できるのは、各カンファレンスの優勝校(32校)とカンファレンスでの優勝を逃した大学の中で優れた大学(36校)です。この36校はNCAAの選考委員会がこれまでの対戦成績などを参考に決めます。基本的には毎週更新される全米大学ランキングの順位に即した決め方になっています。
この選考はすべてのカンファレンストーナメントが終了した翌日に発表されます。トーナメント表の事をBracketと言いますが、このBracketの発表が最初の全米選手権の大きなイベントになります。余談ですが、多くの大学バスケファンはこのBracket発表の後、各試合の勝敗を予想してお互いに見せあったりします。
さて全米選手権ですが、1回戦と2回戦が全米8か所に分かれて行われます。ここを勝ち進んだ16チームは続く3回戦、4回戦を全米4か所に分かれて行われるRegional roundにて戦います。ちなみに大学バスケでは3回戦の事をSweet 16、4回戦の事をElite 8と呼びます。そして勝ち残った4チームがFinal 4に駒を進めます。このFinal 4は屋内のアメフト用スタジアムで行われます。
2、今年の主な日程&視聴方法
今年の全米選手権の日程は以下になります (アメリカ時間です)
- Bracket発表:3/17
- 1st Round &2nd Round:3/21-24
- Sweet 16:3/28、3/29
- Elite 8:3/30、3/31
- Final 4:4/6
- Championship:4/8
日本から全米選手権を見るためにはどうやらESPNのNCAA College passに登録する必要があるようです。残念ながらアメリカからはアクセスできなかったので詳細はご自分で確かめてみてください。
八村選手の所属するゴンザガ大の試合に関してはJ Sportsが配信する可能性はありますが、まだ正式にアナウンスはされていないようです。
また、たまに各大学のウェブサイトにて無料で配信している場合があります。チェックしてみてください。
まとめ
今回はNCAAのバスケ、特に全米選手権の基礎知識について書きました。現在、八村選手の所属しているゴンザガ大は全米ランキング1位であり、全米選手権でも活躍が期待されています。NCAAのバスケを見たことが無い方はまずはゴンザガ大を応援してみてはいかがでしょうか?またBリーグのチームを応援している方は、そのチームに所属している外国人選手の出身大学を調べてみるといいかもしれません。
それでは。
日米のATの年収を比べてみた‼
こんにちは。イマザキです。
先日ツイッター上で日本スポーツ協会(JSPO)による日本のトレーナーの平均年収について話題になっていました。そんな折、ちょうど今月のNational Athletic Trainers’ Association (NATA)の会報でも米国のアスレティックトレーナー(BOC-ATC)の年収調査の結果が載っていたので両者を比べてみようと思います。
なお今回、JSPOのデータは日本スポーツ協会の第一回日本のトレーナー実態調査を、BOC-ATCのデータはNATA 2018 Salary Survey Resultsを参考にしました。残念ながらNATAのデータは会員のみが閲覧可能なようなので、興味のある方は知り合いのBOC-ATCの方に聞いてみてください。
1、サンプル
今回の調査の対象になった人は以下の通りになります。
JSPO:
日本国籍を持つ 20 歳以上で以下の①②③のいずれかの条件を満たす人:
① 日本国内外に居住する AT 資格者保有者
② 職業としてトレーナー活動を行っている人(資格の有無にかかわらない)
③ トレーナー活動を何らかの形で行っている人(資格の有無にかかわらない)
NATA:
BOC-ATCの有資格者。
回答者の数はJSPOが1294名 (男性:78.7%、女性:21.3%)、NATAが9545名 (男性:55%、女性45%)になっています。これはあくまで今回の調査の回答者数ですが、日本で活躍されているトレーナーの方はまだ圧倒的に男性の方の方が多いのかなと感じます。
2、最終学歴
最終学歴はJSPOが博士:5.1%、修士:15.3%、学士:33.8%、短大1.7%、専門学校:43.2%、高校:0.9%に対してNATAは博士:8%、修士:68%、学士:23%、その他:1%になっています。
そもそもBOC-ATCは認定を受けた大学を卒業しなければ受験資格が得られない為、BOC-ATCの最終学歴は学士以上になっています。また、近年の傾向から多くのATが大学院まで進んでいます。一方で日本の場合、大学または専門学校を卒業後、そのままトレーナーとして働く方が多いようです。
3、平均年収
さていよいよ平均年収です。
以下のグラフはJSPOの年収の分布です。
1万円~100万円の範囲がボリュームゾーンになっています。大まかに見積もって全体の平均で言うと340万円ほどでしょうか。
一方でNATAの方はというと、こちらは収入の分布は載っておらず平均のみの記載でした。学歴ごとにまとめたグラフが以下のものになります。
2月28日現在で1ドル110.87円ですから全体の平均で言うと634万円ほどでしょう。日米のトレーナー間では平均で年間300万円ほどの収入差がありそうです。
3、感想
正直に言って最初にJSPOの年収の分布を見たときはショックでした。というのもJSPO-ATの資格試験は非常に難易度が高く、僕の知っている範囲の日本のトレーナーの方も皆さん非常に優秀だからです。それなのに、年収100万円に満たない人がこれだけいるのかと目を疑いました。
しかし、JSPO-ATの前身の日本体育協会公認アスレティックトレーナーの養成制度が始まったのは25年前の1994年です。一方、NATAが出来たのは1950年です。アスレティックトレーナーという職業を制度化し始めてから倍以上の時間がたっているわけですから、収入にも差が出てしまうのも当然だと思います。
昨今、スポーツ現場での安全性が問題視されていることからも、アスレティックトレーナーの職業としての需要はあると思います。今後日本のトレーナー業界もアメリカに追いつく日が来るといいなと思います。
まとめ
今回はトレーナーの年収について少しまとめてみました。皆さんはどう思われましたか?
正直、日本でもアメリカでもアスレティックトレーナーという職業は大金を稼げる職業ではありません(もちろん例外もいますが)。
今回のデータでは平均で倍近い年収の差が日米で見て取れましたが、これはNATAがコツコツとATの価値を広めてきた結果です。日本でもようやく実態調査が行われるなど、まとまった動きが出てきたので、第二回、第三回の調査の際にはこの収入分布も改善してるといいなと思います。
それでは。
ATC取得へ まとめ編
こんにちは。イマザキです。
今回も前回、前々回に引き続きATC取得に向けてのアメリカでの大学院進学に向けてのアドバイスを書いていこうと思います。
前回までの復習になりますが、現行制度ではこれからATCを取得しようと思っている方はアメリカの大学院で認定プログラムを修了する必要があります。この大学院に進学するにあたって主に以下のような手順を踏みます。
学校探し
↓
願書提出・面接等・合格発表
↓
I-20取得・ビザ取得
学校探し、願書提出などに関しては前回、前々回の記事をご参考ください。
1、I-20取得、ビザ取得
さて気に入った学校を探し当て、TOEFL等のテストのスコアもきっちり満たし、面接を乗り越え無事合格に辿りつけたら今度は学生ビザを取得する必要があります。
学生ビザですが、オンラインで申請したのちにアメリカ大使館もしくは領事館で面接をした後に発行になります。全部で3か月ほどかかる為、プログラムへの合格発表の連絡が来たらすぐに行動に移りましょう。(余談ですが僕は手続きをダラダラやっていたため、面接をしたのが渡航の約2週間前、手元にパスポートとビザが届いたのが渡航の数日前というギリギリのスケジュールでした。汗)
おそらく準備する書類の中で一番面倒くさいのがI-20になります。I-20とは入学許可証のことで、これは進学先の学校(主にInternational Office)にお願いして発行してもらいます。このI-20の発行の際に一番ネックになるのが残高証明書を学校側に提出しなければいけない点です。これはその留学生がきちんと学費を払っていけますよという事を示すためです。もしご両親に学費を援助してもらう予定でいるのであれば、早めにいつごろまでこの残高証明書が必要かを伝えておいたほうが良いでしょう。
当ブログは留学ブログではなく、あくまでアスレティックトレーニングなどに関するブログですので他の細かいビザの取得方法などに関しては他に譲ろうと思います。下のリンクは米国大使館のwebサイトで、ここから申請等が出来るようになっています。
また多くの方がビザの申請に関してはブログ等で解説されている為そちらも参考にしてもらえればと思います。
無事学生ビザを取得できれば後は渡米するだけです。ここから2年間のATプログラムを無事終了し、BOS試験を無事突破できれば晴れてBOC公認アスレティックトレーナーになることができます。
2、ATプログラム開始前の他のルート
前々回から始まって今回まで大学卒業からすぐATCプログラムに入る為の道筋を解説してきました。今回はおまけとしてほかのパターンも紹介しようと思います。(おまけと言いながら分量はこっちがメインです)
2-1、留学斡旋団体を使うパターン
現在アメリカ留学にあたって様々な斡旋団体がサポートを行っています。このサポート内容は様々ですが、入学手続きの代行、現地でのサポートなどが含まれることが多いのかなと思います。留学斡旋団体のメリット、デメリットとして以下のようなことが挙げられます。
メリット
- 入学手続き、ビザの申請手続き等を代行してくれる。
- 現地の日本人スタッフの方が困った際に助けてくれる。
デメリット
- 行ける学校の選択肢が限られてくる。
- 料金が割高である。
- 決まりごとが多く煩わしいことがある。
斡旋団体を利用するメリットは様々な手続きを確実に行えることと、現地に日本人スタッフがいることが多いので初めての海外留学の方でも心強い点が挙げられます。とはいうものの現地では自然と日本人同士のコミュニティというのは出来るので大きな心配はいらないと思います。
アスレティックトレーナーになろうとしている学生が斡旋団体を利用する際の最大のデメリットは行ける大学が限られる事だと思います。ほとんどの斡旋団体はアメリカ国内に提携校を複数持っており、その中から生徒が選ぶという形をとっています。ビジネスやエンジニアリングなどと違い、アスレティックトレーニングはどこの大学院にもあるわけではないのでおのずと行ける大学が限られています。
2-2、語学学校に通うパターン
アメリカでATプログラムを取りたいけど、語学力に不安がある、またはTOEFLのスコアが足りないという方は現地の語学学校に通うのも一つの手だと思います。
ある一定規模以上の大学には英語が母国語ではない人の為の語学スクールがあることがほとんどです。例えば僕が卒業したネブラスカ大学オマハ校ではILUNOというプログラムがありました。こういった語学研修プログラムではレベル別に分かれていることが一般的で、クールを終えるごとに上に上がっていきます。
入学までの手続き等はこれまでに書いた手順と変わりありませんが、大学院への入学ではないのでハードルは大分下がります。どこの大学の語学プログラムに行っても良いとは思いますが、将来の引っ越しなどを考えると自分がATプログラムで行きたい大学の語学プログラムに進むのが一番楽かなと思います。
2-3、Prerequisiteのクラスが足りないパターン
前回の記事で、ATプログラム出願にあたって、解剖学や生理学等のPrerequisite classを学部で修了していないといけないとお話ししました。これらの授業を日本で科目等履修生として取ることもできるのですが、せっかくだからアメリカで取りたいという人もいると思います。
この足りない授業をアメリカで取る場合、二つ選択肢があります。一つ目はその自分の行きたい大学で取る方法。二つめはコミュニティカレッジで取る方法です。大学で取るメリットとしては、その大学の授業の雰囲気を肌で感じられることと、教授陣とコミュニケーションが取れることです。一方、コミュニティカレッジで取るメリットとしては学費が格段に安いことが挙げられます。
また上の二つの組み合わせで、秋学期は語学研修のプログラムに入り、春学期はPrerequisiteの授業を取ったという日本人の方のお話もよく耳にします。
3、イマザキの場合
さてここまで偉そうに解説してきたけど、おまえはどうなんだという声にお応えしてイマザキはどうだったかをお話しします。
まず、大学4年時の僕は非常に面倒くさがりで(今もですが)あまりリサーチをしませんでした。また自分の周りにアメリカの大学に進学した人もあまりおらず、イマイチどうすればいいか分からない状態でした。
当時はまだエントリーレベルのATプログラムがある大学院は20校程度しかなかったので、アメリカの学部に編入してもう一度学位を取ろうと考えていました。そこで留学斡旋団体を訪れ、ネブラスカ大学オマハ校を紹介してもらいました。(ちなみにこの時、限られた選択肢しかなかったので前々回書いた学校選びのポイントなんてほとんど気にしていませんでした。)
さていざ渡米して、初めてプログラムディレクターに会った際にもう一度学部生をやるのは時間の無駄だから大学院のプログラムに入るのはどうかと進められました。幸運にもネブラスカ大学オマハ校はエントリーレベルのATプログラムが当時から存在していたのです。とは言うもの大学院のプログラムはすでに始まっているため、次の年のプログラムに出願しなければいけません。また、一つだけPrerequisiteの授業が取れていなかったこともあり、この機会を利用して解剖学や運動生理学などを英語で取り直すことにしました。なので最初の1年間はPrerequisite Classを取りつつ、TOEFLやGRE等、大学院の出願に必要な書類を揃えていました。
僕の場合はだいぶ他人任せで来たなと後になって思います。しかし幸運にも、大学はD1だし、クラスの人数は5人だったし、奨学金も出たし、町は程よく都会で物価もそこまで高くなく住みやすい環境と文句なしの環境が揃っていました。ただ他の人の話を聞くとそうでない場所もけっこうあるようなので、これからATCを取得しようと思っている方はリサーチは出来るだけしっかりしたほうが無難だと思います。
まとめ
今回は最後のステップであるビザの取得に触れ、さらにおまけとして学部から直接院に行く以外のパターンなどについて説明しました。僕自身を含め、大学院でエントリーレベルのATプログラムを修了された日本人の方は皆さん最初の1年は語学学校なり、学部の授業を取るなりされていた方が多いのではないかというのがこれまでの印象です。
今回何個かパターンを挙げたので、自分に合ったパターンが見つかると良いと思います。何か質問があればお答えするので気軽にコメントなり、ツイッターのDMなりを頂ければと思います。
それでは。